第17章

篠原霧音はそっと目を閉じ、胃の奥からせり上がってくる嫌悪感を力づくで押し込めた。

奈々のために。

靴を脱いでベッドに上がり、ぎこちない動きのまま笠原灯の隣へ身を横たえる。

背中がシーツに触れた瞬間、男の——ひどく侵略的な気配が、容赦なく覆いかぶさってきた。

煙草の匂い。

それから、覚えのある冷たい匂い。

霧音の全身の産毛が逆立つ。身体は張り詰め、弓を限界まで引き絞ったみたいに硬い。髪の一本一本にまで警戒が滲んでいた。

かつては、どれほどこの腕の中を求めたことか。

今は、そのぶんだけ拒絶してしまう。

どうして。

遠回りに遠回りを重ねて、結局またこの男と同じベッドにいるの?

...

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