第18章

篠原霧音は歩み寄って娘を抱き上げ、くしゃくしゃになった髪をそっと整えてやる。

「奈々、ママのお願い、聞いてくれる?」

奈々はぐすっと鼻をすすり、素直にこくんとうなずいた。

「ママね、これからお兄さんに会いに行くの。もし中に入れてもらえなかったら……」

霧音は娘の耳元に口を寄せ、声を落として短く指示を告げる。

奈々はぱちぱちと大きな目を瞬かせる。理由はよく分からない。それでも、ぐっと力を込めてうなずいた。

「奈々、わかった!」

霧音は娘の額に軽くキスを落とし、瞳いっぱいにやさしさを滲ませた。

……。

奈々を連れて、HG建材のビル前へ。

受付の女性はまぶたすら上げず、手慣れた...

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