第20章

彼は模型の下にある解説プレートの前まで行くと、文字には目もくれず、輪っかのほうを指さした。

「土星はガスの巨大惑星で、主成分は水素とヘリウム。あの輪は「物」じゃない。無数の氷の粒と岩の欠片でできてる。いちばん幅があるところだと数十万kmくらいあるけど、厚さはせいぜい1km前後」

近くにいた子連れの親たちが足を止め、ぺらぺらと淀みなく説明する小さな男の子に、驚いた顔を向けた。

奈々はというと、ぽかんと口を開けたまま、崇拝のあまり五体投地しそうな勢いだ。

「土星に氷があるの? コーラに入れるやつみたいな?」

「だいたい合ってる。でも、もっと汚い」

今野安哉はその尊敬のまなざしがよほど...

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