第21章

失重感は不思議だった。小さな二つの影が、気流に乗ってふわり、ゆっくりと浮かび上がる。

奈々は最初こそ少し慌てて、手足をばたばたさせてしまう。

今野安哉も初めてのはずなのに、彼のほうがずっと落ち着いていた。体の向きを整えながら、あっという間にこの環境に順応していく。同時に奈々の手をぎゅっと握り、流されないように引き寄せた。

「怖がんな。泳ぐみたいにやればいい」

大声でそう言われ、奈々は素直に真似をする。ほどなくして、ふわふわ揺れる体のバランスを掴んだ。

二人は空中でくるくる回ったり、ぴたりと宙に止まってみたり。楽しさに夢中になって、笑い声が弾ける。

厚いガラス越しに、篠原霧音がスマ...

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