第23章

彼女が今野安哉と一緒に戻ってきたとき、彼は床の石材を見下ろし、鼻で笑った。

「ここの石、質が悪すぎる。オヤジの倉庫に眠ってるやつのほうがずっとマシだ。あれ、何年も放置されてんのに誰も動かねえ」

「昔、外国人が買うって言って手付けだけ払ってトンズラしたんだよ。そっからずっと、買い手なし」

篠原霧音はその言葉を聞き逃さなかった。頭の片隅に素早く刻みつけ、そして今――それが武器になる。

今野天は彼女をじっと見つめたまま、きっかり三十秒。ようやくソファの背に体を預ける。

くつ、と喉で笑って。

「5分だ、篠原さん」

今野天は資料を閉じた。

「悪いが、うちに今まで来た連中よりよっぽど頭が...

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