第27章

全社員の目の前で、堂々と引き抜き――しかも、直々に今野天が。

周囲の同僚たちはもはや感覚が麻痺していて、さっきまでのような「信じられない」という顔すらできなくなっていた。

つい先ほどまで「身体を売った」「拾ってくれるところもない」と嘲られていた篠原霧音が、今や今野天からプロジェクトディレクターとして誘われているのだ。誰が予想できただろう。

清水月は唇をぎりっと噛み、瞳の奥に悔しさと毒々しい怨みを滲ませた。

本当は、篠原霧音の醜態を見に来たはずだった。

なのに――笑いものになるどころか、笑いものになったのは自分のほう。

篠原霧音は今野天を見上げたが、すぐには頷かなかった。態度は終始...

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