第28章

会議室は冷房が効きすぎるほどで、扉が閉まった途端、外の喧騒は遮られ、残るのは静けさだけだった。

今野天はブリーフケースから契約書を一部取り出し、篠原霧音の前へ滑らせる。

篠原霧音はそれを手に取り、ページを矢継ぎ早にめくった。

序盤の条項は無難。ところが見積額の欄に差しかかった瞬間、ページを送る指がぴたりと止まる。

――数字が、熱い。

市場の平均より、きっちり三割高。

篠原霧音はファイルを閉じ、すぐには口を開かなかった。指先で契約書の表紙を二度ほど撫でてから、顔を上げる。

「今野社長。さっきは助けていただいて、本当にありがとうございました。でも、商談は商談です。この価格……うちの...

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