第37章

電話はぶつりと切れ、そのまま力なく手から滑って地面に落ちた。

篠原霧音は、絶望の波が何度も押し寄せてくるのを感じた。息が、うまく吸えない。

笠原灯は動かない。警察も動かない。

どでかい恐慌のあとに降ってきたのは、空を覆うような無力感だった。

震える手でスマホを拾い直し、連絡先を指でなぞっていく。やがて、古川司真の名前のところで指が止まった。

今、助けてくれるとしたら――たぶん、もう彼しかいない。

通話ボタンを押す。

呼び出し音は一度鳴っただけで、すぐ繋がった。

「霧音? どうした」

古川司真の声は穏やかだった。受話器の向こうで、カタカタ、とキーボードを叩く乾いた音がする。ま...

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