第46章

防犯扉が、目の前でどん、と重たく閉まった。

室内のやわらかな灯りも、炊きたての匂いも、団らんの気配も――すべて、扉一枚で遮断される。

笠原灯は一人きりで薄暗い共用廊下に立ち尽くし、閉ざされたドアを見つめた。身体の脇に垂れた指先が、少しずつ強張っていく。関節が白くなるほどに。

中から微かに聞こえたのは、今野安哉の笑い声。続いて、古川司真の穏やかな話し声。

その瞬間、笠原灯は自分が――行き場のない野良犬みたいだ、と思った。

篠原霧音の隣には、もう別の男がいる。別の男が作った飯を食べて、そして……娘でさえ、あの男のほうに懐いているように見えた。

自分は、ただの余りもの。

招かれてもい...

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