第50章

窓の外の淡い光が部屋へ差し込み、床一面の惨状を容赦なく照らし出していた。

砕けた陶片があちこちに散らばり、灰皿の中では吸い殻が小山みたいに積もっている。

笠原灯は一晩中、床に座り込んだままだった。頭の中を支配しているのは、篠原霧音の冷たく決然とした横顔と、すでに署名の入った離婚協議書。

――そのとき、鍵の回る音がした。

清水月が戻ってきた。行ったはずなのに、また笠原灯の家へ。

「出ていけって言っただろ!」

灯は手元に残っていた唯一のグラスを掴み、目も向けずに投げつけた。

グラスはドア枠にぶつかって弾け、ガラス片がぱっと床に散った。

半身だけ覗かせていた清水月は、ひっと甲高く叫...

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