第53章

彼は助理に電話をかけ、数人の前で淡々と言い放った。

「今夜の会食はキャンセルだ。少し私用がある」

通話を切ってから、ようやく篠原霧音へ視線を向ける。顎をわずかに持ち上げ、

「行こう。何が食べたい?」

今野安哉の翳っていた瞳が、ぱっと明るくなる。

隣の奈々まで「わあ!」と歓声を上げ、駆け寄って今野安哉の手をぎゅっと掴んだ。

「やった! お兄ちゃん、また一緒にごはんできる!」

……

二十分後。

一行は、落ち着いた雰囲気の店に入った。

篠原霧音は窓際の席を選ぶ。

四人が腰を下ろすと、霧音と奈々が同じ側、今野天と今野安哉が向かい側になった。

一目見ただけで、妙に整いすぎた光景...

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