第70章

「ほら、まずは一杯やろう!」江口青はグラスを掲げ、篠原霧音のグラスに軽くぶつけた。「笠原灯って、ほんと見る目ないよね。あんないい奥さんがいながら大事にもしないで、よりにもよってあのくそ姉妹に走るなんて」

篠原霧音はふっと笑っただけで、何も言わない。そのままグラスをあおり、中の酒を一気に飲み干した。

喉を焼くような液体がすとんと落ちていく。刺激が強すぎて、彼女は二つ三つ咳き込んだ。

「その人の話はやめて」篠原霧音は空のグラスをテーブルに置く。「縁起でもない」

「そうそう、縁起悪い! 別の話しよう」江口青もうんうんと大きく頷いた。

それから二人は、とりとめもなく話し込んだ。仕事のことか...

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