第9章

最後の採用書類の最終ページを書き終えたところで、人事部のドアが開いた。

古川司真が、仕立てのいいダークグレーのスーツ姿で入ってくる。動きはゆったりしているのに、空気だけが一気に張り詰めた。

彼の視線が、ひょこひょこと様子をうかがう社員たちを撫でるように横切る。昨日、木下課長が騒ぎを起こしたせいで、篠原霧音の件はすでに広まっていた。

面白半分で見物するつもりだった連中も、その視線が自分に触れた途端、そろって目を伏せる。

古川司真は淡々とした声で、人事部の全員に届く音量で言った。

「もう知っていると思うが、木下課長は昨日付で解雇した」

「会社の信用を損ね、規定にも違反した。人事部に、...

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