第13章

二谷夜子は一瞬きょとんとしたが、すぐに口元をゆるく引き上げ、肩の力を抜いたふうに首を振った。

「先輩、聞きたいのって――論文の盗用疑惑の件でしょう?」

原崎暁は何も言わない。ただ、案じるような目で彼女を見つめていた。

二谷夜子は困ったように肩をすくめ、小さくため息をつく。

「ほんと、笑うに笑えませんよ。学校ったら、私みたいなただの医学系院生ひとりのために、わざわざ特別調査チームまで立ち上げて。権威ある学術誌に出した論文を、片っ端から洗い直してるんです。その調査チームができたせいで、根拠もなかった噂まで、みんな本当みたいに受け取るようになっちゃって」

世間の感覚では、もし盗用していな...

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