第26章

二谷夜子は力いっぱい江原和直の手を振り払い、冷えきった声で言い放った。

「誰だろうと関係ない。昨夜の相手があんたじゃなかった――それだけが救いよ」

江原和直の目がかっと見開かれる。胸が激しく上下し、怒気で顔が歪んだ。

「二谷夜子! 俺はおまえの正式な彼氏だろうが!」

この女、頭がおかしくなったのか。

見ず知らずの男に抱かれるほうを選んで、自分には絶対に渡さないつもりか。

二谷夜子は一歩引いた。顔に浮かぶのは失望と、もう後戻りしないという決意。

「別れましょう、江原和直」

「……は?」

頭を鈍器で殴られたような衝撃に、江原和直の血が一気に頭へ昇る。

「おまえ、俺を振る気か!...

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