第30章

二谷夜子は反射的に彼の首へ腕を回した。瞳には、とろりとした誘惑の色が満ちている。

藤原右京も手早く部屋着を脱ぎ捨て、引き締まった胸板と腹筋をあらわにした。

「怖くなったか?」

掠れた声には、獲物を逃がさない獰猛さが滲む。

「もう遅い」

二谷夜子はこれまで何度も藤原右京に抱かれてきた。こういう時の彼が、いちばん押しに弱いことも知っている。

彼女は顔を上げ、潤んだ目で彼を見つめた。声はふわりと軽く、くすぐったい場所を羽根でなぞるみたいに甘い。

「……約束、破るんじゃないかって怖いの」

その一言で、藤原右京の目の色がすっと深く沈む。次の瞬間、焦れたような荒々しさのまま、彼は彼女のネ...

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