第36章

白原ルル……?

二谷夜子の視線が、ベッドサイドのチェストに置かれた写真へと吸い寄せられた。藤原右京と白原ルルが並んで写っているツーショット。

――ああ、そういうこと。

藤原右京は、自分の手の届かない高嶺の花を想って、あんなふうに泥酔したのだろう。

二谷夜子の中で渦巻いていた抵抗も怒りも、その瞬間、喉の奥で凍りついた。

彼が繰り返す「ルル」という呼び声が、いちばん鋭い刃になって、金のために辛うじて保っていた――滑稽な自尊心を、何度も何度も削り取っていく。

自分の存在意義はただひとつ。

酔って理性を失った彼の腕の中で、「白原ルル」という女の代わりを務めること。

安っぽくて、都合よ...

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