第4章

「……あっ、ん……っ」

鋭い刺激と快感が一気に押し寄せ、二谷夜子は指をきつく絡めるようにして、男の黒髪へ差し入れた。

甘く蕩けるその声が、藤原右京の脳髄をじわりと撫でる。彼は彼女の胸を両手で掬い上げ、中央へ寄せるように押しつぶし、俯いてそのまま深く含んだ。

「んぁ……っ」

ちゅ、と吸い上げる音。痺れるような甘い電流が走り、夜子は思わず声を漏らす。指先が勝手に強く髪を掴んだ。

右京は止めない。尖った柔らかな頂と、ふくよかな膨らみを口の中で何度も執拗に弄ぶ。

歯がかすかに触れ、軽く圧をかけた瞬間――夜子はつま先まで強張り、腰が抜けそうになってずるりと沈んだ。

次の瞬間、尻を支える手がぐっと持ち上げる。

右京の掌はいつの間にかショーツの中へ潜り込んでいた。丸みのある臀をなぞり、指先が下へ滑る。中指が花弁を割るように辿り、敏感な突起をかすめた。

夜子は一気に息を吸い込み、荒く吐く。濡れがさらに深くなる。

ぬるりとした熱が指に絡みつき、右京の指先までしっとり濡れた。

耳元で、低い声。

「加減しろ。もう、手がびしょびしょだ」

夜子の頬が瞬く間に熱くなる。肩に回した手を、外すことも絡めることもできず、宙ぶらりんのまま固まった。

だが考える暇も与えない。右京は指を一本、隙間へ滑り込ませた。

夜子の身体が弓のように反り詰める。なのに――もう一本。

「っ……!」

震えが止まらない。奥へ奥へと押し入ってくる指は容赦なく、締め付ける吸い付きが強すぎて、右京の頭皮がぞくりと痺れた。

――きつい。

右京の黒い瞳が暗く光る。息を呑み、引き抜こうとした瞬間、夜子の中は逆にいっそう強く吸い上げた。

「力抜け……ほら、抜け……」

囁くように誘いながら、抜けない指を一度引き、次の瞬間また深く突き入れる。数度の強引な出し入れに、夜子の脚ががくがくと震えた。

首に回っていた手を右京が外し、そのまま自分の腰へ導く。ベルトの上に置かれた夜子の指。

「外せ」

薄暗い視線の中で、右京の目が彼女を飲み込みそうに据わっている。

夜子は、まだ彼の指を中に挟んだまま、震える手でファスナーを下ろした。次の瞬間、硬く熱いものが手の甲に当たる。

熱い。溶けるほどに。

夜子は震えがさらにひどくなった。初めてだ。覚悟はしていたのに、こんなものが本当に自分の中へ入ってくると思うと、どうしようもなく怖い。

ショーツはいつの間にか脇へ押しやられていた。右京は待てない。指を抜き、代わりに先端がすぐそこへ当たる。

大きな先が、湿って柔らかな敏感なところを押し開き、じわじわと――寸分ずつ、入ってくる。

「ぁ――っ!」

いっぱいに押し広げられる痛みで、夜子は目を見開き、喉の奥で悲鳴を噛み殺す。

それでも右京は止まらない。さらに、さらに。押し広げ、嵌め込む。

根元まで入れようとする。

夜子が締め付けて動けなくなり、右京は耳元で甘く言う。

「力抜け。抜いたら……少し、楽になる」

唇をついばみ、舌が口内に滑り込む。誘導されるようなキスの中で夜子の身体がわずかに緩んだ、その瞬間――男は一気に貫いた。

ずぶり。

深く、完全に。夜子の中へ。

「んぅ……ぁ……藤原様……っ」

背中に爪が走り、ひと筋の赤い跡が刻まれる。責める声音は甘く媚びて、矛盾するほど艶があった。

右京は動かない。夜子に慣れさせるように、そこに深く留めたまま、掠れた声で言う。

「呼び方を変えろ」

「え……?」

右京は耳たぶに歯を立てるようにして囁く。

「名前で呼べ」

夜子はなぜか口に出せない。下唇を噛んだ。

だが男には手がある。指先が臀の割れ目をなぞって前へ回り、繋がっている場所を軽く弄ぶ。そして、浅く一度だけ押し込んだ。

「ぁ……っ」

夜子はつま先で立ったまま、足指まできゅっと固める。

「……右京……っ、右京……」

低く、怯えるような声。それが、ひどく甘い。

征服の快感が右京の脳へ広がり、彼は夜子の脚を抱え上げ、深く激しく突き入れた。

夜子の喉から漏れる声が、ばらばらに砕ける。

右京は口を塞ぐようにキスを落としながら、太い熱を何度も何度も貫き立てる。ぱん、ぱん、と乾いた音と、ぬちゅ、という粘った水音が部屋を満たした。

夜子の身体が激しく震え、中がきゅうっと縮み、吸い上げ、吐き出す。

右京はそのまま夜子を抱え、部屋を歩いた。薄暗がりで汗が滲み、夜子は彼の首元へ顔を埋めて、痛みと快感の間で泣くように喘ぐ。

その耳元で、右京が問う。

「喉、渇いたか?」

意味を理解する前に、右京は夜子を抱えたまま水を探し回った。歩くたびに夜子の身体がずるりと落ち、すぐに引き上げられる。その度に熱はさらに奥へ入り、魂までこじ開けるみたいに深く届く。

ほんの短い距離なのに、夜子はそれだけで崩れてしまった。

低い笑いが落ちる。

「それだけか。情けないな」

夜子の視線はとろけ、返事もできない。けれど濡れた瞳には艶が残り、媚びる色が尽きない。

右京は、彼女の中で自分がさらに膨らむのを感じた。

冷蔵庫を開け、水を取る。止まる暇はない。ボトルを掴んだまま、夜子をダイニングテーブルへ押し倒し、そのまま突いた。

夜子は信じられない角度で脚を大きく開かされ、足首は彼の肩に掛けられ、身体はW字みたいに折り畳まれる。

恥ずかしいほど淫らな姿勢。夜子は右京に口元へ当てられた水を飲み込みながら、開かれた中心を容赦なく貫かれ続ける。

上がる悲鳴は、全部、右京の口に奪われた。

ボトルがいつ落ちたのかもわからない。じゅわ、と水がカーペットに広がり、打ち付けられるたびに細かな飛沫が跳ねる。散らかった部屋の気配すら、行為の熱に飲み込まれていく。

「っ……ぁ……あ……っ」

夜子は右京の首に縋りつき、泣くみたいに甘い声を溢す。ふと視線を落とすと、太いそれが脚の間へ深く没し、速すぎて影しか見えない。

夜子は一瞬で顔が熱くなって目を逸らした。だが右京は脚をさらに開かせ、指で震える柔肉を撫でた。

濡れて熟しきった果実みたいに、そこは甘く裂けている。ショーツはまだ完全には脱げていない。半端にずらされた布越しに、肉が深く食い込み、花弁が勝手に吸い付いてくる。

その色の落差と生々しさが、男の理性を赤くさせた。

邪魔な布は耐え難い。びり、と裂ける音がして、右京は夜子をまた抱え上げた。

ソファ。冷蔵庫の前。キッチンの作業台。

夜子は思う――この男、初めて女を抱いたみたいに、止まらない。どうしても足りないみたいに。

右京は夜子の唇を貪り、尻を掬って信じられない力で腰を引き寄せ、自分の骨盤へ叩きつけるように押し当てた。

夜子はもう、目尻が溶け、視界が霞んでいる。脚を開いたまま、痙攣みたいに受け入れ、何度も何度も突き上げられた。

先が奥へ深く触れ、すぐ離れ、また触れては離れる。繰り返す衝撃の中で、身体中に蟻が這うような痒さが走る。夜子は堪える声すら変わり、発情した猫みたいに尖って細い声になる。

もっと乱暴に。もっと深く。

「……う……っ、右京……っ、ゆっくり……」

右京は彼女を見下ろした。頬は赤く、水を含んだ瞳は媚びて、とろけて――すべてが彼だけを映している。

初めてのくせに、吸い方を知っている。絞り潰すような締め付けに、右京の瞳が赤く濁った。

右京は夜子をソファへ押し付け、脚を限界まで開かせる。何十回も強く突き上げ、最後に深く埋めたまま動きを止めた。

夜子にとって、それはただ一言でしか言い表せなかった。

――酔いしれるほど、徹底的だった。

身体は嵐に洗われたみたいに、痛みと快楽が絡み合い、頭の奥まで痺れていく。

浴室から、しゃああ、とシャワーの音が響く。

二谷夜子は気怠げにベッドの上で起き上がった。灯りを浴びた肌は、しっとりとした艶を帯びている。

彼女は傍らのシーツを引き寄せ、身体の見せたくなる場所だけを、わざと隠すみたいにふわりと覆った。怠惰で、どこか挑発的な仕草。

枕元のスマホを手に取る。画面が点き、新着の匿名メール通知。

夜子は口元だけで笑い、急いで開こうとはしない。ベッドサイドの引き出しから女性用の煙草を取り出し、一本咥えて火を点けた。

ひと吸い。吐き出した煙が輪になり、ゆっくりと空気に溶けていく。

それからようやく、添付ファイルを開いた。

写真には、江原和直が上半身裸で写っていた。肌には艶めいた痕が散り、激しい行為の残骸だと一目でわかる。

夜子は指を滑らせ、メールの末尾までスクロールした。

【彼はあなたを愛していない。それでもまだ、縋りつくつもり?】

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