第40章

二谷夜子は顔を上げ、藤原右京の奥行きのある瞳を見つめた。

「酔っ払いの戯れ言だ」藤原右京の声はどこまでも平坦だった。「聞き流しておけ。真に受けるな」

二谷夜子は、一瞬その言葉の裏を読み切れない。

「藤原様、それは賛同しかねますわ」紅い唇を弧にして、いたずらっぽく笑う。

藤原右京が凛とした眉をわずかに上げ、値踏みするような目で続きを促した。

「たしかに酔っていらっしゃいましたけど」二谷夜子は身を少し乗り出す。「私に買ってくださるって仰ったバッグ、それからダイヤのネックレス。約束は、守っていただけますよね?」

藤原右京が、鼻で小さく笑った。

「二谷夜子。俺を嵌める気か」

「まさか...

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