第7章

「署名する気はない」

 修平の声は低く、押し殺した怒りを孕んでいた。

「結衣、いい加減にしてくれないか。これ以上、騒ぎ立てるつもりか?」

 私は彼を静かに見つめ返した。

「騒ぎ立ててなんかいないわ。離婚するって言っているの」

 彼はテーブルに置かれたファイルを睨みつけ、両手を固く拳に握り締めていた。

 ちょうどその時、ドアが開いた。

 入り口には美咲が立っていた。泣きはらしたのか、その目元は赤く腫れている。

「ごめんなさい……来るべきじゃなかったんだけど……でも……私のせいで二人が離婚するなんて、耐えられなくて……」

 修平は固まった。明らかに彼女の登場を予期していなかった...

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