第6章

浅田駿之介と私が恋人関係になってから、彼はほとんど毎日私にべったりだった。

その日、私と浅田駿之介が校門を出たところで、道端に佇む朝比奈恵の姿が目に入った。待ち構えていた、という風情だ。

彼女の視線は私を素通りし、浅田駿之介に真っ直ぐ注がれる。

「浅田先輩、少し二人きりでお話があります」

朝比奈恵の声はいつもより幾分か高かった。

浅田駿之介は立ち止まり、無表情で彼女を見つめる。

「何か用か?」

朝比奈恵は彼の傍らに寄り、声を潜めて尋ねた。

「浅田先輩、本当に倉橋先輩とお付き合いしているんですか?」

私は傍らに立ち、朝比奈恵が浅田駿之介の肩にほとんど触れんばかり...

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