第5章

三日後、良也の方から連絡があった。

「美月、時間あるかな。最新作を見せたいんだ」彼の声はひどく疲れていて、何日もまともに眠っていないかのようだった。

「もちろん。どこで会う?」

「私のスタジオで。夜の九時だ」

深夜のスタジオは、想像以上に不穏な場所だった。以前は整然としていた空間は散らかり放題で、机の上には空のコーヒーカップやテイクアウトの容器が散乱し、壁は新しいモノクロの写真で埋め尽くされていた。

足を踏み入れた瞬間、息が詰まるような圧迫感に襲われた。

「私の新しい世界へようこそ」影から現れた良也は、目が充血し、頰が目に見えてこけていた。「これが最近の作品。『最後の光』シ...

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