第6章
心臓が肋骨を叩きつけるように激しく鳴るのを感じながら、私は良也のマンションに飛び込んだ。
砕け散ったカメラのレンズの破片が、落ちた涙のように床に散らばり、弱々しい月光を反射している。そして、良也がいた。ベランダの手すりに腰掛け、足を外に投げ出して、私に背を向けて。
「良也」声を落ち着かせようとしたけれど、震えているのが自分でもわかった。「投稿、見たよ」
彼の肩がこわばったが、こちらを振り向くことはなかった。
「来るべきじゃなかった、美月」彼の声は虚ろで、ぞっとするほど空っぽだった。「この世界に、私は必要ない」
手のひらが汗でじっとりと濡れるのを感じながら、私は慎重に一歩踏み...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
縮小
拡大
