第29章

風間怜司は小島奈緒と別れ、学校の正門まで戻って自分の車を回収した。もちろん、こんな日に早々と帰宅するつもりはない。付き合う連中はいくらでもいる。

小島奈緒から電話が来たのは、完全に想定外だった。

彼女が自分から電話をかけてくるなんて、一生ないと思っていたくらいだ。

クラブの中はうるさすぎる。わざわざ外へ出て、受話器を耳に当てる。

「もしもし?」

「風間怜司」

電話越しの小島奈緒の声は、少し沈んでいた。

「……今夜、迎えに来てもらえない?」

「なんだ、俺に会いたくなった?」

軽く笑って返す。けれど返事はない。向こうは沈黙したまま。

その沈黙で、ようやく異変に気づいた。風間怜...

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