第31章

風間怜司は左手でハンドルを押さえたまま、身体をひねって、もう片方の手を小島奈緒のシートの背に置いた。上体まで前へ傾け、距離を詰めてくる。

その視線が、やけに遠慮を知らない。

車内の温度まで上がった気がした。奈緒が火にかけられて、じりじり炙られているみたいに。

小島奈緒は、風間怜司の目を見返した。

これで前世と今世の因縁がほどけるなら――別に、いい。

そう思えなくもない。

けれど、ほどけない。清算もできない。

坂本哉太はまだいる。山口大翔もまだいる。風間怜司は来年、突然学校から姿を消す。

問題は何ひとつ片づいていない。解き方すら見つかっていない。

風間怜司の視線は容赦がなく、...

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