第64章

小島奈緒は、これまで家庭教師として入っていた家々に一本ずつ電話をかけ、きちんと事情を説明して回った。彼女は「任せて安心」「仕事が丁寧」と評判の子だ。だから井上小夜を後任として紹介すると、母親たちは口をそろえて言った。

「うん、奈緒ちゃんの紹介なら安心だわ。週末、直接来てもらっていいよ」

二つ返事で、あっさり決まった。

一方、学食のほうの仕事は、風間怜司が「気にするな」と言った。

「俺が総務部長に一言入れとく。奈緒は何もしなくていい」

「でも……」

「罪悪感持つなって。もともと枠がキツいんだし、奈緒が抜けたら別の奴にチャンスが回るだけだろ」

小島奈緒も、確かにそうだと思った。そも...

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