第9章

風間怜司って、どんな男か。

たぶん――家が金持ちすぎるせいだろう。見た目がどうであれ、骨の髄まで「金で買えないものなんてない」と信じている。愛情だって例外じゃない。

そして小島奈緒は、金に対して妙に敏感だった。だから彼が初めて「彼女になれ」と言ってきた瞬間、その目を見ただけで分かった。

奈緒は一度、痛い目を見ている。もう顔色ひとつ変えたりしない。くるりと背を向けて立ち去るような真似も、しなかった。

ただ、冷たく言った。

「無理」

「……」

怜司は眉を上げ、笑みを崩さないまま首を傾げる。

「なんで?」

奈緒は「まだよく知らない」とか「私たちそんなに親しくない」とか、そういう前...

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