第96章

エアコンは効いているのに、夏というだけで理由もなく胸の奥がざわつく。

小島奈緒は寝室側にある小さな書斎でしばらく課題を片づけ、立ち上がってキッチンへ飲み物を取りに行った。冷蔵庫の中を覗き、ペットボトルを一本。――それから、ついでみたいな顔でビールも一本。風間怜司のいる大書斎へ持っていく。

この家には書斎が二つある。

大書斎は、いわゆる「ちゃんとした」書斎だ。机があり、本棚があり、ジャンルもばらばらの本がぎっしり詰まっている。

一方、小書斎は寝室エリアにあって、寝室とは扉一枚。造りもシンプルで、ちょっとした休憩や気分転換用に用意されたような空間だった。

たぶん、内装を決めたときはそう...

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