第138章

月見映司は自嘲気味に笑った。

「どうせここまで来たんだ。帰って優心たちには、俺と抱き合ったとでも言っておけばいい。中には入るなよ。俺だって血気盛んな年頃だ、惚れた女を前にして理性を保てる自信がない」

「……私、もうすぐ婚約するのよ。そういう冗談はやめて。お互いのためによくないわ」

神代雪璃は呆れたように白目をむいた。

「私だってそのまま帰りたいけど、向かいの部屋で月見優心たちが双眼鏡構えて見張ってるのよ」

「……」

月見映司は言葉を失った。

「じゃあ、入れよ」

彼は道を空け、彼女を招き入れるとドアを閉めた。そして向かいの部屋を一瞥する。

「誰もいないじゃないか」

「その綺...

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