第153章

紬木祈は楓陽翔の哀願など歯牙にもかけず、邪魔だと言わんばかりに蹴り飛ばした。そして神代雪璃に向き直る。

「ここは騒がしいですね。神代さん、送りましょうか」

「ええ」

雪璃が頷く。だが歩き出した直後、泉凪紗に腕を掴まれた。

「ありがとう」

「助けたのは紬木さんよ。私じゃない」

雪璃は冷たく手を振り払う。

泉凪紗は目尻の涙を拭い、消え入りそうな声で言った。

「私……夢前茜の動画をあなたに送ったから、もう友達だと思ってもらえないと思ってた……」

「用があるの。失礼するわ」

雪璃は唇を引き結び、紬木の後を追った。

その拒絶的な背中を見送りながら、泉凪紗は両手で顔を覆い、指の隙間...

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