第166章

祖父はすでに肺癌の末期で、余命幾ばくもない状態だった。

もし祖父の機嫌を損ねれば、社長の座も、手持ちのわずか三パーセントの株も、遺言書から削除されてしまうだろう。

そうなれば、祖父の言葉通り、彼は一文無しとなり、自分の女ひとり守ることさえできなくなる。

神代雪璃は冷ややかに笑い、皮肉を込めて言った。

「で? 愛人になる覚悟をしておけと、そう言いたいの?」

「月見優心と婚約しても、すぐに結婚するわけじゃない。式の前に婚約は破棄する」

霧生嵐は多くを語りたがらなかった。説明したところで、神代雪璃の自分に対する憎しみが、一分一厘たりとも減るとは思えなかったからだ。

祖父が亡くなれば、...

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