第172章

霧生嵐も立ち上がり、彼女の後を追った。

「ついてこないで!」

神代雪璃は足を止め、振り返りざまに声を殺して鋭く言い放った。

霧生嵐も足を止める。彼女の瞳に浮かぶ露骨な嫌悪の色が、彼の眼球を突き刺すように痛めつけた。

彼は唇を真一文字に引き結び、淡々と言った。

「風間凛、月見優心、それに月見映司も来ている。気をつけろ」

神代雪璃は冷ややかな視線を彼に投げつけると、何も答えず、震え続ける携帯電話を握りしめて出口へと向かった。

霧生嵐はその背中を見つめ、一歩踏み出そうとしたが、着地する寸前で足を止めた。

扉の向こうに彼女の姿が消えるのを見送る彼の瞳の奥に、暗い影が走った。

「もし...

ログインして続きを読む