第193章

「待ってて」

泉凪紗は十分ほど席を外し、戻ってきた時には制服を着替えていた。

「辞めてきたわ」

神代雪璃は短く相槌を打った。

「ここに来たのは以前の生活から抜け出したかったからなのに、楓陽翔があんな騒ぎを起こすから、もういられなくなっちゃった」

泉凪紗は苦笑した。

「人の口に戸は立てられないと言うけれど、噂話って本当に人を殺しかねないわね」

雪璃は伏し目がちにパスタをフォークで巻き取り、口へと運ぶ。

「星夜クラブで働いた数年で、少しは貯金もできたの」

凪紗の眉間に苦渋が滲む。

「楓陽翔の会社が紡木さんに潰されたらしくて、復縁を迫ってきてるのよ。私の貯金で再起したいんだって...

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