第197章

霧生嵐は、ガーゼの巻かれた右手を軽く動かした。

「大したことありませんよ。祖父の機嫌を損ねただけです」

「機嫌を損ねたといっても、やりすぎだろう!」

霧生家の長男である伯父は眉をひそめ、ふと思い出したように言った。

「まさか、親父に果物ナイフを突きつけた件か?」

霧生嵐は薄ら笑いを浮かべた。

「伯父さん……知っていて聞いているんでしょう?」

「はあ」

伯父はため息をついた。

「お前は普段賢いくせに、なんで肝心な時にそんな初歩的なミスをするんだ? 女なんていくらでもいるだろう。たかが神代雪璃一人のために、親父を敵に回す必要があるのか?」

カチャリ。

病室のドアが開いた。

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