第206章

「逃げられるかと思ってな」

霧生嵐は身を乗り出し、助手席のドアを開けた。

「乗れ」

神代雪璃は何か言おうと口を開きかけたが、結局何も言わずに助手席へと回り込んだ。ドアを閉め、シートベルトを締める。

「今の体じゃ実技の練習は無理だ。まずは学科試験だけパスしておけ。運転はその足が治ってからだ」

霧生嵐はエンジンをかけた。

神代雪璃は「うん」と短く答え、少し躊躇ってから尋ねた。

「メディアを使って月見優心のスキャンダルをあれほど派手に流させて……お祖父様に咎められるのは怖くないの?」

月見優心の不祥事は月見グループの株価に直撃する。月見家が調査に乗り出せば、裏で糸を引いているのが霧...

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