第211章

「……それは、違います」

神代雪璃は言葉を詰まらせ、半刻ほどしてようやく口を開いた。

霧生嵐は反論することなく、静かに言った。

「気負う必要はない。俺がお前に良くするのは、俺がそうしたいからだ。そこに貸し借りの問題など存在しない。俺のそばから離れない限り、お前は何をしてもいい」

「私に時間を費やす必要はありません」

神代雪璃は告げた。

「私たちはもう清算済みです。あなたが私に借りがあるわけじゃない……むしろ、借りがあるのは私の方。あなたの条件なら、あらゆる面で優秀な奥様を見つけられるはずです」

霧生嵐は眉をわずかに顰めた。

「他の女がどれほど優秀だろうと、お前ではない」

「...

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