第19章

聞こえてきたのは、彼の文句だけだった。

「葉夏、お前ほんと容赦ねぇな……骨、折れた気がするんだけど。どう落とし前つけてくれんの?」

私は笑って彼を見下ろした。

「次はもう少し近づいてみたら? 入院コースになったら、全額出してあげる」

小野寺礼臣は、白目を剥かないだけまだマシ、という顔をする。

「俺、お前の婚約者なんだけど。ガチで壊されたら、代わりいねぇぞ」

その言い方が可笑しくて、私は吹き出した。

「婚約者って、一人だけって決まりあるの?」

結局そのまま、彼は床に布団を敷いて一晩寝た。

翌朝。外から、控えめなノックが響く。

「礼臣様。お目覚めでございますか」

小野寺礼臣...

ログインして続きを読む