第22章

ビルを出るとき、小野寺礼臣が笑いながら私に訊いた。

「機嫌よさそうだな。ほかに行きたいところは? まだ俺、何も役に立ってない」

私は少し考える。

「行きたい場所は特にないかな。でもさっき“デザイン”って言ったでしょ。会いたい人がいるの」

汐見奈緒。私のいちばんの親友。

彼女はもう、無名の駆け出しデザイナーなんかじゃない。

一年前、F国のファッションウィークで出したコンペ作品が最優秀賞を獲ってから、彼女のデザイン会社は一気に名が売れた。今では有名人の衣装依頼が殺到して、数か月待ちは当たり前。――私なんかが、簡単に時間をもらえるのかはわからない。

それでも電話番号は、身体に染みつく...

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