第53章

夏川グループの工場を出ると、小川社長が契約書を私の手に渡してきた。

「葉夏さん。榎本社長から伝言です。こちらの件は弊社の人間が全力でバックアップいたします。近いうちに一度、皆と顔合わせも兼ねて会議を――ご都合、いつ頃がよろしいでしょうか?」

私は笑ってうなずいた。

「ここ数日で。もう月末ですし、株主総会もありますよね。日程が固まったら送ってください。経営のほうは、基本いままで通りでいいです。私、手が回らなくて」

小川社長は自ら車のドアを開け、私をシートへと送り込む。

「承知しました。後ほどメッセージいたします」

アクセルを踏み込むと、車はすぐに走り出した。ルームミラー越しに、年季...

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