第54章

夜はとっくに更けているのに、道路は相変わらず車が途切れない。

私はスポーツカーでクラクションを鳴らし、車列の隙間を縫うように強引に割り込んだ。ハンドルを握る掌は汗で濡れ、焦りが神経を焼く。冷静さなんてとっくに吹き飛んでいて、頭にあるのは――もっと速く、もっと速く。

ナビの表示はまだ距離がある。小野寺礼臣に何が起きたのかはわからない。彼の経験なら、そう簡単に引っかかるはずがない。それでもメッセージを送ってきたということは、相当に深刻だ。

スマホには、私が返したメッセージが残っている。

『少しだけ耐えて。今すぐ行く』

苛立ち紛れに二度見返しても、返信はない。胸のざわつきが、さらに膨らん...

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