第67章

退勤間際、小野寺礼臣が会社の入口に姿を見せた瞬間、オフィスの外にいた若い子たちが「わあ……」と息をのむのが聞こえた。すぐに受付が内線で私の秘書に連絡し、「男性の方が来られていて、ご自身を社長の彼氏だと名乗っています」と伝えたらしい。

秘書は当然、小野寺礼臣の顔を知っている。真っ先に下へ降りていき、そのまま彼を連れて戻ってきた。

私の執務室の前に立つ彼を一瞥し、私は手元の書類から目を離さないまま言う。

「どうして来たの?」

小野寺礼臣はにこりと笑い、私の前の椅子に腰を下ろした。腕時計の文字盤を、指先で軽くコン、と叩く。

「迎えに来たんだよ。退勤の」

私は相変わらず顔も上げない。

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