第100章 新婚旅行

非常灯が点いた瞬間、黒服たちの手にした警棒が一斉にバチバチと火花を散らした——

冬木澪が事前に仕込んでおいた、電磁妨害装置の効果だ。

花柄シャツの男が怒号とともに突進してくる。

澪は半身でかわし、肘を叩き込むように男の肋骨へめり込ませた。

「ぐっ……!」

男は呻いて床に転がる。澪はその勢いのまま警棒を奪い取り、くるりと身を翻し、藤堂湊の前に立った。

藤堂涼太は、冬木澪の身のこなしがここまでとは思っていなかった。

彼は反射的に後退して物陰を探そうとしたが、藤堂湊がネクタイを掴み上げて止める。

湊の眼差しは、毒で焼き入れされた刃みたいに冷たかった。

「親父が、おまえを藤堂グルー...

ログインして続きを読む