第92章 対峙

ナースステーションで、看護師が藤堂颯太を呼び止めて会計へ向かわせた隙を突き、冬木澪が声を落とした。

「あなたのお母さん、スープに混ぜたもの……量は少ないけど、流産させるには十分」

藤堂湊の目が沈む。

「うん。昨日、婚約の話を詰めてたときに、もう俺に言ってきた」

藤堂湊は橋本日奈を藤堂家に入れたくない。母のやり方が間違っていても、必要以上に追及する気はなかった。

「颯太には、しばらく伏せておけ」

声はさらに低くなる。

「落ち着いてから話す」

そのとき、病室から看護師が出てきてマスクを外した。

「患者さん、目を覚ましました。ご家族は入れますが、刺激しないでくださいね」

藤堂颯...

ログインして続きを読む