第6章

由美視点

高い天井、剥き出しのレンガ、鉄骨の梁。巨大な窓から太陽の光が降り注いでいる。ホワイトボードはアルゴリズムの数式やプロダクトのアーキテクチャ図で埋め尽くされている。会議テーブルを囲んでいるのは、桜原テックから引き抜いた五人のエンジニアたちだ。

私はホワイトボードの前に立ち、マーカーを手にしている。三ヶ月が経ち、私は痩せた。けれど、その分、瞳の光は鋭くなった。迷いが消えたのだ。指がボードの上を素早く動き、アーキテクチャを描き出す。

直樹は最前列に座り、ノートパソコンを開いている。元桜原テックのチーフエンジニアである彼は、身を乗り出して図面を食い入るように見つめている。

「...

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