第12章
「どうして……ここまで徹底的にやる必要があるんだ?」
高橋隆の声は嗄れ、その瞳には戸惑いと苦痛が満ちていた。
北海道の雪景色は絵画のようだ。松島桜は全面ガラス窓の前に立ち、その指先で窓ガラスをそっと撫でる。氷のような冷たさと室内の暖かさが鮮やかな対比をなし、それはまるで、彼女の平静な表情の下で渦巻く感情そのものだった。
「あの人たちは、俺の両親なんだぞ……」
電話の向こうから聞こえる高橋隆の声は、死に際に足掻く獣のようだった。
松島桜は微かに微笑み、振り返って窓の外に広がる無限の雪原を眺めた。
「あなたの会社はまだ残っていますわ。株価が七割下落しただけ。ご両親は収監されま...
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