第111章

酒井初音は茶会の席へ戻った。

足取りは迷いなく、潔い。もとより久世家の人間とは縁を切るつもりだったのだ。久世哲哉が生きようが死のうが、自分に何の関係がある?

自分が蹴り落として「ルビーのペンダント」を探させたわけでもない。

大人なら、自分の身体と命に責任を持てばいい。久世哲哉が「お前のためだ」だの何だのと道徳で縛ろうが、知ったことじゃない。

茶会に戻った初音は、明らかに浮かない顔をしていた。

御影良介が心配そうに寄ってくる。背の高い影が彼女の背後を何度も行き来しているのに、当の本人はまるで気づかない。

しびれを切らした良介は、ぐっと身を屈めて彼女の視界に割り込み、真顔で言った。

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