第12章

三村正明は慌てて前へ出て、パソコンの中身を削除した。書斎に満ちていた艶めいた音は、ぷつりと途切れる。

だが――空気は、むしろいっそう不穏になった。

「御影さん。ここ数日の治療、効いてるみたいですね」

「……脈、上がってますよね」

酒井初音はその隙に、御影怜司が自分の目を覆っていた手をするりと外す。濡れた瞳に、からかいと甘い熱が揺れた。

少女の澄んだ瞳には、無表情のまま僅かに気まずそうな羅刹面の御影怜司が映っている。

けれど、怖がる気配はない。

欠けた顔をまっすぐ見据え、まなざしだけは誠実だった。

「……出ていけ!」

御影怜司は眉を寄せ、ぎこちなく背筋を正す。初音を放し、車椅...

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