第143章

無色無臭で、見た目もまったく同じ粉末――それは酒井初音がYN薬粧を作る傍ら、ついでに研究していたものだった。

一般的な医療機器で検査しても、まず引っかからない。

この三日三晩、久世美月と川野幸男は文字どおり寝る間もなく走り回った。

――ようやく、あの茶番は幕を下ろした。

酒井初音は疲れを引きずるように御影家の屋敷へ足を向けながら、心の中で考える。

酒井正志を、果たして見つけられるのだろうか、と。

あの子はとにかく気性が荒い。

酒井家にいた頃も、酒井裕也の言うことしか聞かなかった。

毎日いちばん好きなことは、私に噛みついて反対意見をぶつけること。

戻ってきたとなれば――正直、...

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