第148章

彼は――母に酒井初音を見張らせ、久世家の門から一歩も出させず、御霊舎で反省させておけば、この件もそのうち有耶無耶になる。そう思っていた。

ところが。

酒井初音のほうは大人しくなったのに、酒井家が騒ぎ出したのだ。家族総出で久世家の門前に押しかけ、口々に「初音に会わせろ」と喚き立てる。

あの夜は、稲妻が空を裂き、雷鳴が腹の底まで響いていた。

久世隆臣は使用人に命じ、酒井初音には酒井家が来たことを伏せさせた。久世家が笑いものになるのは目に見えている。そんな醜聞、芽のうちに摘み取ってやる――そのつもりだった。

だが酒井家の連中は、全員が石みたいに頑固だったらしい。

酒井秀雄と末の息子は、...

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