第163章

酒井初音は、参湯を手に書斎へ入ってきた御影雅弘をちらりと見やり、眉をわずかに吊り上げた。

「御影雅弘。あなた、海外ではコンピュータと国際金融を主に研究してたって聞いたけど?」

御影家の御影雅弘への育て方は、当時のそれよりも、よほど手が掛かっている――そう言っていい。

御影怜司ほどの器があれば、御影良介があれこれ気を揉む必要はない。

だが雅弘は違った。あの小僧は、良介が自分の手で仕込んだようなものだ。幼い頃から特別扱いも多かった。

世間が「御影良介は末っ子を溺愛している」と囁くのも、根も葉もない話ではないのだろう。

「えっ、初音様。なんで知ってるんですか?」

「まさか、学生の頃か...

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